左官の世界には、その地域だけにつたわる伝統の仕上げが存在します。
ここ遠州のみに伝わるであろう伝統工法
「葛壁」(くずかべ)
葛壁を説明する前に、
葛を説明します。
葛とはマメ科の植物で、日本中どこでも自生している植物です。
食用として、根っこを使った「葛餅」「葛湯」などがあります。
そして掛川を中心に遠州で作られた、
葛布があります。
葛の繊維を糸にして織り上げた布です。
葛壁は葛布を作る段階で出たカスを壁に左官が塗ったのが葛壁です。
存在すらあまり知られていなかった、葛壁を現代に甦らせたい!!
いろいろ調べて頑張ってみました!
袋井に住む引退された高齢の親方に話を聞きに行き、自分なりの解釈で作ってみました。
まずは、
こんにゃく糊をつくります。
ぬるま湯でつくります。
ご縁があって、いただいた葛を、化学染料で染めてもらい、1センチぐらいのサイズにはさみで刻みます。
出来上がった、こんにゃく糊と葛を混ぜます。
あとは壁に塗るだけ。
繊維が捌けるように、地金の鏝で塗り付け、本焼きの鏝で通して仕上げです。
なんとか形にはしたけど、「これが正解だったのか?」
糊と繊維の配合比率は?
こんにゃく糊の濃度は?
下地の違いによる水引加減は?
なにより、カスとは言え、葛は大変貴重なもの!
本当にこの道は、高く険しい道のりです
いつの日か、本物を再現できるように、がんばっていきます。
やまと左官工芸 森の左官職人 山本勉